事業用賃貸物件って何？

2025年6月10日

### はじめに
事業を始める際、適切な物件選びは成功の鍵を握ります。特に、事業賃貸物件（商業用賃貸物件）は、オフィス、店舗、倉庫など、事業運営に必要なスペースを提供する重要な要素です。本記事では、事業賃貸物件の定義、種類、選び方、契約時の注意点について解説します。

## 1. 事業賃貸物件とは？
事業賃貸物件とは、企業や個人事業主が事業運営のために借りる不動産のことを指します。一般的な住居用賃貸物件とは異なり、商業活動を目的としたスペースであり、業種や用途に応じてさまざまな種類があります。

### 事業賃貸物件の主な種類
1. **オフィス物件**
– 企業の本社や支店、スタートアップの拠点として利用される。
– 立地や設備が重要視される。

2. **店舗物件**
– 飲食店、小売店、美容室などの営業スペース。
– 人通りの多い場所やターゲット層に適した立地が求められる。

3. **倉庫・工場物件**
– 商品の保管や製造業の作業場として利用される。
– 広さやアクセスの良さが重要。

4. **医療・福祉施設向け物件**
– クリニック、介護施設などの用途。
– 設備や法規制の適合が必要。

5. **その他の特殊用途物件**
– 学習塾、コワーキングスペース、イベント会場など。

## 2. 事業賃貸物件の選び方
事業賃貸物件を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

### ① 立地
立地は事業の成功に大きく影響します。例えば、飲食店や小売店の場合は人通りの多い場所が有利ですが、倉庫や工場の場合は交通アクセスや物流の利便性が重要になります。
※都心部や郊外でも考慮するポイントは変わります。飲食の場合は、周辺施設や交通量、景観なども考慮すべきポイントとなり、細かい部分では店舗前の道路に中央分離帯の有無や信号の位置などもポイントとなる場合があります。

### ② 賃料とコスト
賃料だけでなく、共益費、保証金、敷金・礼金、更新料などのコストも考慮する必要があります。予算に合った物件を選び、長期的な経営計画に支障がないようにしましょう。
※契約時に現金で必要となる資金となります。見落としが無いよう確認をしっかりといたしましょう。

### ③ 物件の設備・仕様
事業に必要な設備が整っているかを確認します。例えば、オフィスならインターネット環境や会議室の有無、飲食店なら厨房設備や換気設備が重要です。
※トイレの確認はしっかりとしましょう。男女共用トイレや多店舗共用トイレも情報紙にトイレ有で表示されることが多いです。飲食店でトイレは重要なポイントになることもあり気を付けて内見しましょう。

### ④ 契約条件
契約期間、解約条件、原状回復義務などを事前に確認し、事業の運営に支障がないかをチェックしましょう。
※契約の形（定期・普通）は？、更新は可能？、短期解約年数は？、保証金や敷金の償却条件は？、原状回復はどこまで？など契約書に記載無いことも多いためしっかりと確認して記録しておきましょう。

### ⑤ 法規制・許認可
業種によっては、特定の許認可が必要な場合があります。例えば、飲食店は保健所の許可が必要ですし、医療施設は厚生労働省の規制に準拠する必要があります。
※許認可だけでなく資格も必要になる業種もあります。前準備をしっかりとしましょう。

## 3. 事業賃貸物件の契約時の注意点
契約を結ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

### ① 契約形態の確認
事業賃貸物件の契約には、一般的な賃貸借契約のほかに、定期借家契約（契約期間が決まっている）などがあります。契約形態によって更新の可否や解約条件が異なるため、慎重に確認しましょう。
※定期で短い期間の場合もあります。契約後は勘違いでは済みませんのでしっかりと確認を取りましょう。

### ② 保証金・敷金・礼金の扱い
保証金や敷金は、退去時に返還される場合がありますが、原状回復費用が差し引かれることもあります。契約書の内容をよく確認し、予期せぬ費用負担を避けましょう。
※礼金には消費税が発生しますが、保証金・敷金には消費税は発生いたしません。

### ③ 原状回復義務
退去時にどの程度の修繕が必要かを契約時に確認しておくことが重要です。特に、内装工事を行う場合は、原状回復義務が発生する可能性があるため、事前に貸主と相談しましょう。
※閉店時や移転時に費用が発生します。どこまでを造作したのか分かるようにビフォアーアフターの写真をしっかり残しておきましょう。

### ④ 競業避止義務
一部の物件では、同じ建物内で競合する業種の入居を禁止する「競業避止義務」が設定されている場合があります。例えば、同じビル内に複数の飲食店が入居することを制限するケースです。
※以前と同じ業種だからと言って同業可能かは分かりません。必ず業種の確認は取りましょう。

### ⑤ 契約期間と更新条件
契約期間が短すぎると、事業の安定性に影響を及ぼす可能性があります。更新時の条件や賃料の改定についても事前に確認しておきましょう。
※事業用賃貸の場合は、条件のよって借地借家法の適用が否定される場合もあることは認識しておきましょう。

## 4. 事業賃貸物件の探し方
事業賃貸物件を探す方法として、以下のような手段があります。

### ① 不動産仲介業者を利用する
専門の不動産業者に相談することで、希望条件に合った物件を効率的に探すことができます。特に、事業用物件に詳しい業者を選ぶと、契約時のアドバイスも受けられます。
※火曜日、水曜日が定休日な不動産業者は多々あります。定休日や営業時間を確認しておくことをお勧めします。

### ② インターネットで検索する
不動産ポータルサイトを活用すると、全国の事業賃貸物件を検索できます。例えば、「SUUMO」「アットホーム」「ホームズ」などのサイトが便利です。
※飲食専門のぶけなび関西もとても便利です！！

### ③ 直接オーナーと交渉する
一部の物件では、オーナーと直接交渉することで、柔軟な契約条件を引き出せる場合があります。特に、長期契約を希望する場合は、オーナーとの信頼関係を築くことが重要です。
※なかなかハードルが高い方法ですが、知人などからご紹介頂ける方は是非。

### ④ 地域の不動産情報を活用する
地域の商工会議所や自治体の不動産情報をチェックすると、地元の優良物件を見つけることができる場合があります。
※自治体が管理している物件の問い合わせに関しては、自治体へ相談することをお勧めいたします。

## 5. まとめ
事業賃貸物件の選び方は、業種や事業計画によって異なります。立地、賃料、設備、契約条件などを総合的に検討し、最適な物件を選ぶことが成功への第一歩です。また、契約時の注意点を理解し、トラブルを避けるための準備をしっかり行いましょう。
また多くの不動産業者やサイトを見ること聞くことが大切です。不動産は専門用語も多く聞き取りにくいことが多々あります。聞き流しは特に注意し分からないことは理解できるまで聞きましょう。そのためには不動産へ伺う時はしっかりと時間を確保してください。

事業賃貸物件の選定は、単なる「場所探し」ではなく、事業の成長を支える重要な決断です。慎重に検討し、最適な物件を見つけて、事業の成功へとつなげましょう。